創作日誌

劇団でドラマを作る(1)「連載」への憧れ

冨坂です。

さて、先日の定例報告会でも喋ったし、その後呟いたのですが、アガリスクは劇団でドラマを作ります。
「シットコム」と呼ばれる、映像の1話完結のお茶の間のコメディを作ります。過激派で。


これ。WEBページもつくりました。

(というかこの公演特設WEB自体、ちょっといじりました。もはや公演だけのページじゃなくなってきたんで、ひとつながりでスクロールできるページじゃないほうがいいかなーと思って)

ドラマ版のページの挨拶文に言いたいことはほとんど書いちゃったんですが、もともとやってみたかったんですよ。この「シットコム」というジャンル。

「シットコム」と「シチュエーションコメディ」の区別とかジャンル的な立ち位置とか、ややこしい話は後日書きますね。
今は【TVでやってるシチュエーションコメディのシリーズ=「シットコム」】くらいで認識していただけると。

僕はTVのじゃなくて、舞台でやってる2時間ぶっ通しのシチュエーションコメディに憧れてこの表現を始めたクチです。
要するに「フルハウス」じゃなくて「君となら」が。パルコプロデュースの三谷作品が好きだったわけです。
それでも、舞台の2時間の長編を作っていると、いつしか「連載」というものに対する憧れが芽生え始めます。

短い話を積み重ねて、キャラクターが育っていく

お客さんが毎週とか毎月、生活の中で作品を取り入れていく

…いいよね! 憧れるよね!
長編の舞台の「2時間そこらの中に世界観とか哲学とかをギューっとパッケージングした物語」っていうのも、潔いし、祭だし、それはそれで素敵なのだけど。
でもそれをたくさん作っていくと、一つの物語を小分けにして長いスパンで続けていくのが羨ましくなってきます。

ただ、演劇公演と連載って食い合わせが悪い。
なにせ劇場まで足を運ばなきゃいけないから。
「前の話見逃した!」とか「続き気になるけど次回行けない!」が生じやすい。
そうなると、まぁ、見なくなりますよね。

だし、せっかく会場まで足を運んで大勢で「せーの」で同じものを見るんなら、それなりの尺のゴロッとしたひとかたまりが欲しくなるし、そっちのほうが祭っぽい。

その点、お客さんの生活の中にそっと忍び込むなら、やっぱり映像とか音声とか文章なんですよね。

で、我々は劇団だし、物語を提供したいし、文章じゃなくて演技がいいし、声だけじゃなくて生身がいいし……と考えていって映像作品の配信に行き着くわけです。

ですが、映像作品は大変。
演技もそうだけど、それ以上に撮ったり編集したりのスタッフの作業に、演劇公演と全く違うスキルが必要とされる。
自主映画とか作ってきた人に太刀打ちできない。

その打開策を考えていた時に、「おや?」と浮かんだのが「シットコム」でした。

演技も、見せ方も、撮り方も、どこか舞台っぽい。
そりゃそうだ、だって本場のは公開収録でお客さん入れて撮ったりもするんだから。
もちろん映像作品としてアウトプットするわけだから、舞台とは違う映像のスキルもいるだろうけど、映像で物語を届ける上で、劇団のアドバンテージが生かせるのはこのジャンルなんじゃないか……?
そう思ったわけです。

そして、この「シットコム」という表現、劇団に向いてるぞ?とも思えてきます。
このジャンルは、大体が「お決まりの場所で」「お決まりのメンバーが」「1話完結のすったもんだを繰り広げる」「シリーズもの」です。
固定の出演者と、そのアンサンブルがものを言う。しかも長いスパンで作り続ける。
その点、「劇団」というのはプロデュース公演と違って、お決まりのメンバーが揃っている集団なわけです。

「つくづく向いてるなぁ…」と思いました。

そして、次第に「いつかアガリスクでシットコムシリーズをつくろう」と思いながら日々を過ごしていくわけです。

(つづく)